“やっぱり”懲りないNHK、無差別殺人の首都圏空襲を日本政府に転嫁

5月25日、NHKが特報首都圏というプライムタイム枠で、「知られざる空襲」という番組を放送した。
先の大戦における米軍の本土空襲では、3月10日の東京大空襲が有名である。無差別爆撃によって、一夜にして10万人以上の犠牲者を出した、歴史に留めるべき人類史上最大級の虐殺である。
しかし無差別殺戮の被害は、東京だけが被ったわけではなかった。
この「知られざる空襲」は、日本が連合国に対し、ポツダム宣言受諾を通知した後に行われた「熊谷空襲」を取り上げた。
視点としては興味深い。
しかしその編集手法は、酷いものだった。

番組によれば、ストーリーはこうだ。
昭和20年8月10日
日本が連合国に対し、ポツダム宣言受け入れの意向を電報で伝える
昭和20年8月11日
連合国はトルーマン大統領の空襲停止命令により、空襲を中止
昭和20年8月11日
連合国は日本に対し、ポツダム宣言を無条件で受け入れるかを確認
天皇制を存続させたい日本は、どう受け入れるかを議論しているうちに、2日間が経過する。
連合国は、交渉が進まなかったため、日本を降伏させようと空爆を再開
昭和20年8月14日
日本が連合国に対し、ポツダム宣言を受け入れると通知した14日深夜、B29が既に熊谷の上空に到達。
空襲は止められず、僅か11時間後、日本が降伏する。
この熊谷空襲に関し、森村誠一氏が登場。日本政府がポツダム宣言を受諾するか否かの判断を躊躇したため、尊い260名以上の人命が失われたと説く。曰く、「(日本政府による)一種の殺人」と。


これで番組のトーンは決まった。
米国をはじめとする連合国の悪行を、日本政府のせいだとすり替えるミスリードである。
私は何も、森村氏の意見に対して「あなたは間違っている!」と叫ぶつもりはない。
森村氏は実際に空襲を受けた側の人であり、故郷を焼き尽くされ、身近な人を亡くしたわけである。実体験者には実体験者なりの見解があるだろう。
要は、この森村氏の発言以降の番組の構成、編集において、「日本政府=悪」という概念が固定されるのか否かの問題になる。
期待にたがわず(?)、その後の番組の指向性は、キャスターの斉藤孝信アナの涙ぐましい努力によって、「失われた人命は、判断が遅かった日本政府の責任」と固定化されていく。
ゲストの半藤一利氏を相手に、会話が繰り広げられる。
アナウンサー: もう少し早く降伏の決断ができていればと思ってしまいますけれども。
色々上層部ではやりとりがあったんでしょうけれども、悲しいのは、誰一人として国民の方を見ていないですよね。
半藤: あの当時の指導者は、戦争に如何に勝つか、如何に続けるかということに全部の目が行っているから。国民は一生懸命ついてこいという目しかありませんから。
アナウンサー: 二度と繰り返さない決意が必要なんだという意見が寄せられているが、今回の資料の中、見えてきた悲惨な空襲から、今後学びとっていけるものはなんなんのか?
半藤: これから戦争の芽が出てきたら、ひとつひとつつぶす。そういうことを、亡くなった犠牲者の方々が訴えている。
アナウンサー: 二度と市民がターゲットにならないよう(・・・云々。)

これが結論である。
私が何故この番組に注目したかというと、理由がある。
NHKは3月に、NHKスペシャル「東京大空襲583枚の未公開写真」という番組を放送した。
この番組は、資料をもとに、東京大空襲の無差別爆撃が東京市民の殺戮を目的としてものであったことを冷静に証明した。そしてその責任を、日本政府の指導者に転嫁することをしなかった。
NHKの過去の偏向放送を知る者にとっては、非常にフェアな番組構成だった。
だから、今回の放送にも淡い期待したのだ。
期待は間違っていた。
やはり番組全体を支配する空気は、戦争に導いた日本の戦争指導者が悪であり、その悪人たちによって無垢の市民が命を落としたというシナリオだ。
まさに戦後レジームそのものである。
非戦闘員の殺害(それも大量の殺戮)が明確な国際法違反であり、東京大空襲や熊谷空襲などが歴史上稀に見る非人道行為であることがまず指摘されるべきであるが、それを許さないのが戦後レジームなのだ。
「知られざる空襲」は、NHKが全く懲りておらず、全く変わっていなかったことを証明する番組だった。
言うまでもありませんが、以上は私の個人的所感です。
明日28日の15時15分からこの番組の再放送があるので、ご自分なりに判断されることをお勧めします。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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