一川防衛相の辞任は3カ月遅い

一川防衛相の進退問題に関する政局が大詰めを迎えそうだ。
野党は参議院で問責決議案を提出する予定とされ、提出されれば可決の可能性が大きい。
仙谷、馬淵両閣僚の問責からちょうど1年。
臨時国会終盤での閣僚の問責は、既に民主党政権の恒例行事となりつつある。
先に、沖縄防衛局の田中聡前局長が、普天間飛行場移設に関するアセスメント提出時期をめぐり、「女性を犯す前にこれから犯しますよと言うか」と発言した問題について、一川大臣の責任といっしょくたにする世論がある。
当然、責任は免れない。
しかし、田中前局長の発言問題に関しては、完全オフレコという約束を破った琉球新報に大きな道義的問題がある。
琉球新報による「裏切り」がなければ、新聞紙面を賑わすような事態にはなっていなかった。
つまりこれは、もともと国民が知るはずがない情報だったのである。
従ってこの前局長発言は、副次的な事象であって、一川氏の問責の主要因になるとは思えない。
それ以前に、一川氏の場合は、防衛相たる資質そのものが問題なのだ。
民主党の珍語録は、何も鳩山、菅歴代総理の専売特許ではない。
一川氏は防衛相就任を前に、記者団に対し、「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と述べた。
「記者団に」という報道がある以上、これはオフレコ発言ではなく、正真正銘オンレコである。
一川氏は、まさしく就任直前に、防衛相たる資質、資格を自ら否定したのだ。
素人でさえ、一川氏によるシビリアン・コントロールの解釈が全くのデタラメであることを知っている。
その後も一川氏は、「ブータン国王が来て宮中で催し物があるが、私はこちらの方が大事だ」と宮中晩餐会を欠席して、党議員の金集めを手伝いに出張り、はたまた平成7年のアメリカ海兵隊員らによる沖縄米兵少女暴行事件について国会で問われ、「正確な中身を詳細には知らない」と答弁している。
宮中晩餐会の欠席は、閣僚としてよりも人間としてのダメさ加減を露呈し、米兵少女暴行事件への不見識は、閣僚の資質とともに、民主党の政治主導をも否定した。
政治家が何も知らなくして、政治主導などあり得ないからだ。
一川氏は防衛相への登用を断るべきだった。
だから辞任が3カ月遅いということだ。
綺麗ごとかもしれないが、大臣というポストは、その人が日本国にとって必要かどうかのみが考慮されるべきであり、民主党にとって必要かということなど問題ではない。
野田首相は、頻繁に「国益」という言葉を口にするが、野田首相は国益という言葉を再度自問自答すべきだ。
この閣僚人事が党内政局を最大限に考慮したものなら、「国益」など、軽々に口にしてほしくない。
一川氏にしろマルチ山岡にしろ、野田首相は終始一貫して、「適材適所」という言葉を用いてきた。
野田首相がその態度を変えないのなら、いつの日か岩波書店が、広辞苑のなかにある「適材適所」の意味を書き変えなければならくなるだろう。
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