TPP問題: 米国の画策する構図と民主党外交の敗北

こと野田首相の外交を見ているとつくづく思う。
「鳩山由紀夫っていうのは、ホントに罪深い首相だったなぁ・・・」と。
そもそもルーピー首相が96年に書いた「わがリベラル・友愛革命」を読んでいさえすれば、こんな人を首相にすることの危険性は察知できたはずなのだが、09年の衆院選ではそれが大きな話題になることもなく、「政権交代」という政策でもなんでもない民主党とメディアの共謀プロパガンダに流された国民が、鳩山首相を誕生させた。
その挙句が、沖縄米軍基地問題の「国外、最低でも県外」という迷言を生んだ現実であり、続く菅政権でも沖縄米軍基地問題を1ミリも進められず、2代後の野田政権も、いまだにその言葉に拘束され続けている。
ルーピー元首相が滅茶苦茶にした米軍基地問題で深い傷を負った日米関係は、民主党政権の一貫した弱腰外交も相まって、中国の尖閣諸島への暴挙やロシア首脳の北方領土への訪問、韓国の竹島への手段を選ばない実効支配強化を誘発するが、3代続く政権はいまだに有効な外交上の手立てを打つことができない。
野党時代は情報がなかったからと言い訳をするが、そもそも禍根を残すような外交しかできないのなら、何もしてくれないでいたほうが国益にかなう。
負の遺産を背負った野田外交のマイナスからの出発だが、ハワイのAPECではその負の遺産で米国に圧倒的なイニシアチブを取られたようだ。
12日にTPP交渉参加9カ国が開いた会合に、野田首相は招かれなかった。
この件に関し、安倍元首相のメルマガで、興味深い解説があった。
野田総理はTPP交渉参加を記者会見で表明し、意気込んでハワイでのAPECに乗り込みました。しかし、一番のハイライトと言える、TPP首脳会合に出席する事すら出来ませんでした。
「これまで議論してきた大枠を確認する会合だったので日本を入れなかった」と関係者は言ってますが、そんな話ではありません。
あそこに日本が入るのと、入らないのでは、経済的政治的に意義、重要性が決定的に違ってきます。
あの会合を世界に向けてショーアップしたいオバマ大統領は、むしろ日本に出席して欲しいはずです。
しかし敢えて日本の出席を拒んだ。
なぜか?
それは、インド洋の給油活動から撤退し、普天間移設問題で日米合意を踏みにじった末、何とか関係を改善したいと焦っている民主党政権の足元をみて、タタミかけ
米国「入れてあげようか」
日本「入れて下さい」
という構図を作ろうとしているからでしょう。
交渉は常にゲームはつきものですか、同盟関係を考え今までは必ず事前調整していました。
そもそも参加表明するならTPP集中審議を行った予算委員会前に表明し、国会を通して戦略的意義、メリットデメリット、その対策について説明すべきでした。
これでは自由貿易論者の私も「民主党政権では交渉能力無いのでは・・・」と心配になります。(以下略)安倍晋三メールマガジンより
つまり、日本外交は、「TPP交渉参加に向けた関係各国との協議に入る」という精一杯の宣言以前に、既に米国の強力なイニシアチブの下で踊るしかないということなのだ。
玉虫色の政治判断を表明してハワイに乗り込んだものの、待ち受けていたのは米国からの冷遇だった。
外交に善意の欠片もないことは、少し勉強すれば、我々平民でも容易に理解できる。
善意を期待することができないどころか、下座におかれ、米国の意に抗うこともかなわない。
これが、2年と少しで民主党が証明した、日本外交の凋落である。
リセットするには政権再交代しかないのだが、果たして選挙互助会組織である民主党はいつまで居座り続けるのか。
2年前に鳩山民主党政権を選択した国民は、一体このような事態を予測したのか。
そして、あと2年も我慢し続けられるのだろうか。
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