朝鮮半島問題に関する青木理の“言いがかり”を批判する

朝鮮戦争の休戦協定締結70年の記念行事に出席するため、ウクライナ戦争ではあまり表に出てこないロシアのショイグ国防相が代表団を率い、北朝鮮を訪問した。ロ代表団は中共代表団とともに、27日の記念行事に出席するという。北朝鮮はこの休戦協定を米国への勝利だと言い張っており、朝鮮戦争を共に戦った中露は勝利チームという位置づけなのだろう。外国の要人が北を訪問するのは、武漢熱のパンデミック後初めてだそうで、北に何らかの変化の兆候があると見る識者も少なくないようだ。
さて、そのような状況をも日本たたきに利用しようとするのが、保守派に大人気!(笑)の「サンデーモーニング」という番組だ。我らが青木理が、トンデモ解説を試みている。ちょっと長いが、あまりに面白いので引用する。
青木理 ちょっと歴史的なことを考えるとね、今年、朝鮮戦争の休戦から70年なんですけれど、その先の大戦で、ヨーロッパでは敗戦国のドイツが分断をされて、周辺国と和解を成し遂げて統一も果たしたんですけれども、アジアで見ると日本が統治していた朝鮮半島が解放された後に分断をされて、しかもこの朝鮮戦争ってのは本当に朝鮮半島全土が焦土になって数百万死んだと言われていて、未だに北朝鮮と韓国では離散家族が1000万人くらいいるって言われてるんですね。でいまだに休戦状態で置かれてるっていう状況に関して、しかも日本の戦後を考えると日本の最初の高度経済成長のきっかけってのは朝鮮戦争の特需みたいなもので、日本の経済成長が始まってるってことを考えると、この朝鮮半島の現状ってのは日本は全く責任がないというかむしろ責任があるわけですよね。
ていう中で、これ我々日本は何するのかというときに先ほど、薮中さんもおっしゃいましたけれども、もちろん日米韓の連携は大切ですし、18日に来月18日にキャンプデービッドで会談をやるのも大事、そこで連携を強調して北朝鮮とどう対峙するかっていうことを考えるのも大事なんだけれども、見ているとアメリカはオバマ政権と同じように北朝鮮に対しては戦略的放置というかほとんど何もしていない。尹錫悦政権はもう完全に対決モード。アメリカの原子力潜水艦が今度釜山に入港するなんてことを見せつけて、北朝鮮と対決モードになってるんだけれども、日本はどうかと言えば、アメリカ追従だけなんですけれども、果たしてこれでいいのだろうかと、この緊張が紛争とか偶発的な衝突に繋がらないように、皆さんおっしゃったようにどうやってコントロールしていくかっていうことを努力しなくちゃいけないん。
で、それを考えると、やっぱりこの地域の“一応”大国の日本が、この朝鮮半島、自らがかつて統治した朝鮮半島とどう向き合うのかっていうのをもう1回再構築をして、この緊張を少しでも和らげるような方と、具体的に言えば対話のルートを模索するとか、あるいは日朝の会談をやるとかっていうようなことも同時に考えないと、どんどんどんどん緊張ばかりが高まって、最終的にはこの地域に再び戦火がってことになりかねないっていうあたりは、我々本当に気をつけて見なくちゃいけないんじゃないかなと思いますけれどもね。
関口 何かそういう外交とか政治っていう面において日本は流されてるよね。(青木:そうなんですよね)だから自分たちで何とかっていうそういうものが出てこないで、なんか流されたまんまいってるような気が私もします。
朝鮮戦争が日本の高度成長の追い風になったのは事実であるが、「日本には責任がある」と、朝鮮戦争を利用したかのように言うのはミスリード、言いがかりの類だ。朝鮮戦争の勃発は1950年で、1953年の停戦協定まで続いたが、当時はまだ日本は占領下にあり(主権回復は1952年)、国家としての選択権はなかった。日本に朝鮮戦争特需のようなものがあったとしても、それは日本の国家意思が反映されたものではない。青木の論は無理筋だ。
「日本はアメリカ追従だけ」というのも短絡的過ぎる。米国は朝鮮戦争を戦った当事国であるが故のステークホルダーであり、北の代表者が米国との対話を望むように、強い影響力を持った国である。拉致問題を抱える日本がその米国の協力関係を維持するのは至極当然であり、同盟国としても当然の成り行きだ。確かに岸田政権になって以降、対米追従の傾向はかなり強くなっているが、北朝鮮との対話の用意があるという姿勢は、安倍政権から岸田政権に至るまで変わっていない。「対話のルートを模索するとか」というのも、現実を観ていない者が言う台詞だろう。
結局のところ、青木も関口も、他のサンモニ・コメンテーターも、対話という魔法で国家間の問題が平和裏に解決できると信ずる戦後民主主義の申し子でしかないということだ。軍事力の行使を認めず、ひたすら対話だけで物事を解決せよと迫る彼らの姿勢を見ていると、拉致被害者家族が気の毒でならない。
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