LGBT法案 ~ 「質疑と答弁で疑問に答える」という大嘘

昨日のエントリーでは、LGBT法案が9日(金)に衆院内閣委員会で審議入りし、「審議というのは名ばかりで、即日採決という強行」と批判した。その審議というのは8会派10分ずつの計1時間20分だそうだ。国民もバカにされたものだ。私はよく、数々の迷惑行為で国会の日程闘争という政局に明け暮れる立憲民主党のことを批判するが、このなんちゃって審議は時間軸的にその逆で、「早く通してしまいたいから、国民の批判が渦巻く前に採決しちゃえ」というもの。どちらも五十歩百歩だ。少なくとも自民党は立民のことを批判できない。
自民党の青山繁晴参院議員が産経新聞の取材に対し「問題点を審議で解消するというが、審議時間は実質ないのも同じだ。この時間で審議できるならば、立法府の自己否定になる」と語ったそうだが、まさにその通り。自民党は部会、政調会、総務委員会をすんなり通す中で、「国会における質疑と答弁で疑問に答える」とその強引な手法を釈明していたが、それもまた大嘘だった。議員立法というのは、閣法と違い、改正するにも改正のための議員立法が必要で、いったん成立してしまえば、後に諸々の問題が発生しても、法改正すら難しい。その議員立法が、国民不在のまま強行採決されようとしているのである。
現時点では与野党が握ったようにも思えるのが、以下の変態新聞の記事である。
LGBT法案、9日に衆院内閣委採決 立憲が付帯決議案、焦点に(変態)
衆院内閣委員会は7日の理事懇談会で、LGBTQなど性的少数者への理解増進を目的とする議員立法「LGBT理解増進法案」について、9日に与野党提出の3法案を一括で審議入りさせ、同日中に採決することで合意した。立憲民主党は付帯決議案を提示。自民、公明両党は、与党案の条文修正には応じない構えで、今後は付帯決議の扱いが焦点となる。
関係者によると、立憲が示した決議案は15項目。与党案が「不当な差別はあってはならない」との表現にとどまっていることを踏まえ、差別を禁止する海外の法制度について研究を推進し「必要な法制上の措置を講ずる」と明記。また、与党案が「性自認」を「性同一性」との表現に置き換えたことに関し、同法の施行によって現行条例などで用いられている「性自認」の文言を、「性同一性」に変更する必要がないと「周知徹底」することも求めた。
与党は与党案を可決し、13日に衆院を通過させる方針。【畠山嵩】
数の力ではかなわない特定野党が、与党案の可決を見越し、付帯決議を盛り込もうと、条件闘争を試みるのだという。ただでさえ不要な法案に、余計に厄介な付帯決議など付けられたら、迷惑度はさらに増す。この記事からわかるのは、野党が与党案の可決を織り込んでいるということ。議員立法の「全会派一致の原則」を楯に抵抗するつもりもないということだ。従って野党もアテにならない。
それにしても、この拙速さは異常である。この法案はただでさえ、保守派の間で慎重論が根強い。ろくに議論せずにこの法案をごり押しすることで、自民党は保守票と女性票を大量に失うことが想定される。解散総選挙は早ければ今夏、いくら遅くても今年中にあると言われるが、選挙が近い時期にこれをやることは、自民党にとってデメリットしかない。それでもごり押しする背景には、バイデン大統領に広島原爆祈念館を訪問してもらうかわりに、LGBT法案の可決成立をバーターしたのだという説があるが、私にはよくわからない。少なくとも、デメリットしかない法案を通す強い動機が、岸田政権にはあるのだ。
夕刊フジが、自民党保守派のコメントを載せている。
「わが党議員も、急な審議入り情報に『何が起こったのか…』と戸惑っている。この件は、法制化する根拠や具体的な事例が示されておらず、『立法事実』がない。女性や女児の安全を軽視し、欧米などで多発している犯罪や問題も無視している。法律を強引に成立させれば、保守政党・自民党は終わる。解散・総選挙に突入したら、危機的だ」
自民党の保守系議員は、突然動き出したLGBT法案に危機感をあらわにした。
まさに言う通りだが、夕刊フジによれば、この法案に対する本音をオンレコで語る議員はおらず、言質を取れるとしてもオフレコなのだという。そういう縛り、圧力が、党中枢から出ていると推察するのが妥当だろう。「反対する議員は、次の選挙で公認しない」とでも脅しているのか。であるなら、独裁政治そのものだ。そういう脅しをかける連中は、今後、キンペーや黒電話を批判できない。
とにかく、法案が成立する瞬間までは、徹底的に抗うしかない。地元の自民党議員を含め、あらゆるチャネルで法案に反対の意見を届けるしかない。自民党が壊滅しようとしまいと、法案が成立してしまえば手遅れなのだ。個人的なことを申せば、こんなに頭に血が上るのは20年前の人権擁護法案以来だ。
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