G7広島サミット閉会 ~ 理想論に必要なのはそれを現実化するための方法論だ

岸田首相にとっての一大イベントであったG7広島サミットが滞りなく終了した。先ずは大きなトラブルもなく、無事にサミットを開催できたことを歓迎したい。全国から動員された警察の方々にも感謝したいし、期間中に通常の生活ができなかった地元の方々にもようやく平穏な日常が戻る。
サミットは概ね成功だったと言えるだろう。外務省が公表した「G7広島首脳コミュニケ」をざっと読んでみたが、網羅する範囲が広すぎて、巨大な国際会議であることを改めて痛感する。概ね事務方が事前に準備するのだろうが、外務省は恐らく徹夜作業だったのではないか。コミュニケにはしっかりと、拉致も盛り込まれた。
我々は、北朝鮮に対し、日本、米国及び韓国からのものを含め、繰り返し提示されてきた対話の申出に応じるよう求める。我々は、北朝鮮に対し、人権を尊重し、国際人道機関によるアクセスを容易にし、拉致問題を即時に解決するよう求める。
拉致問題の解決に関するG7の総意は得られたが、この問題の主人公は日本だ。日本は各国の協調を得ながら、その解決の方法論に進まなければならない。他国任せでは、この問題は永遠に解決しない。
岸田首相はサミット終了を受け、会見でこのように述べている。
今日、こうして人類の生存を信じ、平和を希求し、広島に集う各国のリーダーたち、世界のメディア、明日を担う若者や子供たち、そして先の大戦を知る皆さん。我々はみな「ヒロシマの市民」です。世界80億の民が全員、そして「ヒロシマの市民」となった時、この地球上から核兵器はなくなるでしょう。私はそれを信じています。
今回、私はそうした思いで、ここ広島で世界の首脳たちに集まっていただきました。
夢想と理想は違います。理想には手が届くのです。我々の子供たち、孫たち、子孫たちが核兵器のない地球に暮らす理想に向かって、ここ広島から、今日からひとりひとりが「ヒロシマの市民」として一歩一歩現実的な歩みを進めていきましょう。
この言葉に表されるように、岸田首相の主眼は「核なき世界の実現」ということだろう。岸田氏は「核なき世界」について、このサミットで何度も強調している。「ノーベル平和賞でも狙っているのではないか」と揶揄する言葉も聞こえてきそうだが、ご本人はいたって真面目なのだろうから、その主張は聞き置くべきだろう。ただ、その方法論はいまだ理想の域から出ず、サミットは理想に合意したに過ぎない。せめて国連改革について、その可能性くらいには触れてほしいと思ったのは、私だけか。
さて、お馴染みのサンモニでは、青木理が出演し、平和公園への核のボタンの持ち込みについて批判していたようだ。
【サンモニ】青木理氏 G7開催の広島「核のボタンも堂々と持ち込まれている」核抑止の重要性うたうことに「首ひねる」(デイリースポーツ)
ジャーナリストの青木理氏が21日、TBS「サンデーモーニング」に出演。広島で開催中のG7サミットについて、「核のボタンも堂々と持ち込まれている」と話し、「核兵器のない世界をうたいながら、核抑止の重要性をうたっている」と首をひねった。
番組では広島サミットを特集。青木氏は「被爆地ヒロシマで行われている訳ですが、核のボタンも堂々と持ち込まれている。広島ビジョンをよくよく読んでみると、核兵器なき世界とうたいながら、『すべてのものに安全が損なわれないことが条件だ』となっている。むしろ、核抑止の有効性をうたいあげるようなところもある」と話した。
120%くらい予想できたリアクションに失笑だ。昨日も書いたが、「平和公園への核のボタンの持ち込み批判」は、悪意のある印象操作というべきもので、青木理も同じ手法を取ったというだけ。現実を観れば、核のボタンを押す権限のある権力者が、平和公園を訪れる時ですらボタンを携行しなければならないという現実である。そしてその現実が、世界の核抑止の機能を発揮しているという逆説的論証だ。
広島サミットは成功だったと言えるだろう。私は岸田首相を支持しないが、ひとりの日本国民として成功裏に終わったG7を歓迎する。G7首脳に加え、インドやオーストラリアといった重要な役者も揃ったし、サプライズでウクライナのゼレンスキー大統領も来日し、全世界の注目が広島に集まった。さて、岸田氏は「ゼレンスキー解散」でもするのだろうか。今の自民党執行部に、公明党を説得できる力があるかどうか、問われるというものだ。
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