中共に何をされても「遺憾砲オンリー」なら国は護れぬ

連邦政府の借入限度額である「債務上限」の引き上げを巡り、議会とチキンゲームを繰り広げるバイデン米国大統領だが、バイデンはこの問題がクリアされない限り「ここ(米国)に留まるだろう」と、G7欠席の可能性を示唆したそうだ。これは議会がねじれているときによく起きることであり、大統領も議会議長もデフォルトなど引き起こしたらそれこそ責任を追及されるわけで、両者の対立はいわゆる「歌舞伎」に近いと、個人的には思っている。ウクライナ戦争が継続している中、米大統領のG7欠席はあり得ない。
G7ともなれば、あの厄介者のラーム・エマニュエルがいろいろな場面でしゃしゃり出て来そうで、気が重い。実際のところ、現下の日本は駐日大使に恵まれない国だ。前述のラーム・エマニュエル然りだが、今年3月に着任したばかりの中共大使、呉江浩も相当な厄介者である。昨日の外務委員会で立民党の良心ともいえる松原仁議員が、呉江浩の4月28日にあった記者クラブでの発言を取り上げ、リン外相を質した。
呉江浩は4月28日の記者クラブでの会見で、台湾問題について、武力行使の放棄を約束することはしないと、武力にある現状を変更あり得ると明確にした。その上で、「台湾有事は日本有事」という言い方は荒唐無稽で、中国の純国政問題であり、日本の安全保障と結びつけることは非論理的で、極めて有害であると言明した。
ここまではお約束のようなことばだ。だが、大使は続けて、こう語ったという。松原議員の質問から引用する。
「このことは日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と。凄まじい表現ですね。着任早々記者クラブで話したところで、こういうことを中国の大使は言った。まさに日本の民間人にも危害を加えることを示唆した発言であり、断じて許することはできないと思っています。
松原議員は外交問題に関するウィーン条約「ペルソナ・ノン・グラータ」を引きながら、今回の件は当該大使に対しても適用するべきではないかと質した。カナダは新疆ウイグル自治区の人権状況に批判的なカナダ議員に圧力をかけようとしたという理由で、在トロント中国外交官を追放した。松原氏は「カナダはやってます。林大臣はカナダと同様の決意をする用意があるかどうかお伺いをしたい」と、リン外相に迫った。
リン外相の答弁は極めて杓子定規なものだ。
ご指摘の在京中国大使の発言、これは在京大使の発言として極めて不適切であると考えておりまして、外交ルートを通じて厳重な抗議を行ったところでございます。その上でこの台湾海峡の平和と安定これは国の安全保障はもっとより国際社会全体の安定にとっても重要であります。我が国の従来からの一貫した立場は台湾をめぐる問題が台湾により平和的に解決されることを期待するというものでございます。
「暖簾に腕押し」とでもいうべきか。日本政府はこの発言に遺憾砲を発射したが、それで終わり。リン外相にも外務省にも、「大使を呼び出して厳重に抗議する」などという発想すらないのかもしれない。
思えば、ナンシー・ペロシの訪台後、中共が実施した軍事演習で、中共が発射した弾道ミサイル5発が日本のEEZ内に着弾した事案でも、外務省は大使を呼び出すことはせず、「電話で抗議」しただけだった。外務省は大使を呼び出したが、シカトされたという。要するに舐められているのだ。
このような甘く、杜撰な対応を繰り返せば、日本に対しては何を言っても「外交ルートで厳重抗議が関の山」という認識を相手に与えることになる。中共大使は、日本国民を標的にすると恫喝したのだ。その恫喝に対する日本政府の対応からは、危機感も国家・国民を護る気概も覚悟も感じられない。
「価値観外交」、「自由と繁栄の弧」といった対中外交を昇華させ、「自由で開かれたインド太平洋構想」で自由主義国家を結束させたのは日本だが、そのプレゼンスは今や、影も形もない。国家、国民を護る気がないなら、すぐに退場してもらいたい。
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