エマニュエル米大使主導の“G6”書簡は、姑息な内政干渉だ

安倍総理が亡くなって以来、自民党が瓦解の道を一気に進んでいるように思える。2月に岸田首相が岩屋毅、稲田朋美らに推進を支持したLGBT法案の準備に関しては、保守派の不満が噴出したが、現時点では同法案を強引に進めるような所作は出てきていない。なぜかと言えば、政権・党執行部が「統一地方選が終わるまで表立ってやるな」と指示しているからだという。
統一地方選の投票日は、4月9日と23日だ。G7広島サミットは5月19日に開幕する。要するに、4月23日から翌月19日までの4週間弱のあいだに、これを片付けてしまう可能性が高いということだ。岸田首相がこれを進める背景に、米国からの圧力がある。バイデン大統領はもとより、駐日米国大使のラーム・エマニュエルは、Twitterなどでもこの問題の推進を求め、広報を強めている。そしてその具体例が、下記の事象ではないかと思う。
日本除いた「G6」からLGBTQの人権守る法整備を促す書簡 首相宛てに駐日大使連名 サミット議長国へ厳しい目 (東京新聞)
先進7カ国(G7)のうち日本を除く6カ国と欧州連合(EU)の駐日大使が連名で、性的少数者(LGBTQ)の人権を守る法整備を促す岸田文雄首相宛ての書簡を取りまとめていたことが、複数の外交筋への取材で分かった。元首相秘書官の荒井勝喜氏の差別発言をきっかけに、エマニュエル米大使が主導した。G7で唯一、差別禁止を定めた法律がなく、同性婚も認めていない日本政府に対し、今年5月の首脳会議(広島サミット)で首相が議長を務めることも踏まえ、対応を迫る内容だ。(柚木まり)
書簡は2月17日付。「プライベートレター(私信)」の扱いだが、エマニュエル氏を含む7人の大使が署名した。
日本政府高官は15日、本紙の取材に「途中はどうかわからないが、結果的にはもらっていないのではないか」と述べた。
本紙が入手した書簡のコピーによると、日本でLGBTQの権利を守る法整備が遅れていることを念頭に「議長国の日本は全ての人に平等な権利をもたらすまたとない機会に恵まれている」と指摘し、国際社会の動きに足並みをそろえることができると求めた。
元首相秘書官の差別発言には直接言及していないが「LGBTQへの等しい権利を求める日本の世論が高まっているだけでなく、差別から当事者を守ることは経済成長や安全保障、家族の結束にも寄与する」と強調。ジェンダー平等を巡り「全ての人が差別や暴力から守られるべきだ」と明記した昨年のG7サミットの最終成果文書に日本が署名したことにも触れ、「日本とともに人々が性的指向や性自認にかかわらず差別から解放されることを確かなものにしたい」と訴えた。
関係者によると、大使らは当初、公式な声明を出すことを検討したが、内政干渉と受け取られることを懸念し、非公式に各国の意向を示すことにした。(以下略)
日本を除くG7の駐日大使が、連名でLGBTQの人権を守る法整備を促す岸田首相宛ての書簡を取りまとめていたという。記事には、エマニュエル米大使が主導したものらしい。さもありなんだ。日本に対して急進的にLGBTQへの法整備を求めるにがドイツ大使館だが、LGBTQI+の人々の人権促進に取り組むジェシカ・スターン米国特使が来日した際、G7およびオーストラリアの大使館の代表を含めて意見交換会を行ったことをツイートしている。恐らくこの辺が岸田宛書簡の出発点なのだろう。ちなみに、岸田首相が岩屋、稲田らにLGBT法案の推進を指示したのは、このスターン来日の直前のことだ。
エマニュエル大使(右)とジェシカ・スターン(中央)
G7各国大使館による書簡は、「プライベートレター(私信)」の形をとった圧力であり、内政干渉だ。書簡には、「G7の議長国である日本は、LGBTQの人々の人権を守る法整備を含めた国内課題を、国際的な人権擁護の動き合わせて解決できる、またとない機会に恵まれている」とあるそうだ。要するに、「日本はG7議長国なのだから、G7の前に片づけてしまえ」と言っているのだ。余計な事をするのもいい加減にしてもらいたい。
この書簡は、岸田政権が外圧に弱いと見られている証左だろう。今般の日韓のなし崩し的外交復活にも米国の圧力があってのことだと言われ、総合的に見ると、日本は主権国家の体を成していないと言わざるを得ない。安倍総理ならこんな書簡をにこやかに受け取り、スルーしてくれただろうが、岸田氏は真面目な顔をして真正面に受け取り、「指示通り」にやってしまいそうだから怖いのだ。
とにかく、この法案の差別条項には注意が必要だ。統一地方選が終わったら、推進派は矢継ぎ早にこれを強行しようとするだろう。差別の定義いかんによっては、絶対に阻止しなければならない法案だ。
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