「目的が手段を浄化する」? ~ 西山事件と岸田のLGBT法推進

元毎日新聞記者で、沖縄返還をめぐる日米間の密約報道に関わった西山太吉が24日、北九州市内の介護施設で死去した。享年91歳。沖縄返還時の日米間の密約を暴くスクープを入手したが、女性の外務事務官に機密を漏洩させた「西山事件」はあまりに有名だ。
西山の死去に関し、朝日新聞の現役記者がこんなことをつぶやいている。
「正しい」やり方だけでは倒せない巨悪と対峙した時、どうするか。報道の世界には「目的が手段を浄化する」という考え方もあり、西山事件はまさにその一つだったように思います。「運命の人」に合掌を。
— 武田啓亮 (@takedareporter) February 25, 2023
元記者の西山太吉さんが死去 91歳 沖縄返還めぐる「密約」報じるhttps://t.co/5sF3dfJXzV
「目的は手段を浄化する」とはよく言ったものだ。西山の目的は国家機密情報の入手である。そして西山の手段は、既婚女性だった外務省事務官に酒を飲ませ、泥酔させた上で強引に肉体関係を結び、それを武器に情報を得ることだった。さて、国家機密を入手する「目的」のために、一人の異性の人生を滅茶苦茶にする手段を取ることが、果たして「浄化」と言えるのか。まったく、朝日の倫理観は我々の想像を遥かに超えるレベルにあるようだ。
「目的は手段を浄化する」というのは、言葉としては響きは良いが、それは自己の正当化には好都合なことばであるように思う。このことばを聞いて思い出したのは、岸田文雄と稲田朋美のふたり。いずれも、安倍総理との「LGBT、特にTはやらない」という約束を、安倍氏の死後に公然と破り、LGBT理解増進法に突き進む政治家だ。
過日、国際政治学者の島田洋一氏が「消息通によれば、岸田首相はLGBTに関心がなく、党が割れる問題なのでタッチしたくない。どこに辿り着くにせよ流されるままに、が基本スタンス」とツイートしていて、性急に法案を進める意思が官邸にないのではないかと思っていた。ところがこれは一種のディスインフォメーションだった可能性がある。ジャーナリストの山口敬之氏によれば、岸田官邸から閣僚に対する指示として、記者会見の応答要領がまわってきており、その中に「性的志向と性自認に対する差別は許されないという考え方のもとで」という一文があるという。これは実態として「差別禁止法」に他ならない。
岸田首相のLGBT理解増進法推進が目的であるとするなら、彼は安倍総理との約束を破る「手段」を取ったということになる。安倍総理は、岸田氏がLGBT法をやらないという言質を取り付け、それがもととなって総裁選で清和会と高市票を岸田に回し、岸田は総裁選に勝利した。総裁選に勝利するための暗黙の条件が、安倍総理の死後に一方的に破棄されたということなのだ。
この法がアメリカ様の指示であろうと、岸田独自の政策であろうと、もうそんなことはどうでもいい。中川昭一氏や安倍総理が体を張って止めた人権擁護法案も、安倍総理が岸田や稲田にその危険性を諭し、「やらない」と約束させたLGBT法案も、本質的には同根だ。日本の国柄や文化、習慣や道徳を破壊しかねないものなのだ。
岸田は昨日の自民党党大会で、政権奪還から10年が経過したことに触れ、「民主党政権によって失われた日本の誇り、自信、活力を取り戻すために力を合わせ大きくこの国を前進させた『前進の10年』でもあった」と語ったそうだ。その誇りや活力を、自身の政権が再び後退させようとしている。
この政権、1秒でも早い退陣を強く望む。
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