戦場訪問を事前広報? ~ 危機管理を理解できない政府関係者に唖然とする

訪米中の総理会見で、ポケットに手を突っ込んで岸田氏の話を聞く姿を激写され、炎上した木原誠二官房副長官。YouTube番組で「これ言うとまた荒れると思うけど...」と前置きした上で、「俺わりとね、変な話だけど歩きながら考えるタイプなんですよ。昔から、勉強も何も。いつもポケット入れて」と釈明したそうだが、白々しさしか残らない。
防衛増税が議論を呼ぶ中、公明党副代表の北側一雄が「突然だった」と批判したことを受け、「唐突にいきなり増税の話があったとは理解していない」と述べたが、これも、木原のネット番組での「俺は増税なんて聞いた事ないけどね」という発言の全否定だ。公明党副代表が知っていることを、総理の側近と言われる官房副長官が知らないはずがない。国際政治学者の島田洋一氏が木原を指して「ピンサロのフロアマネージャー」と呼んでいたが、何となく腹に落ちた感がある。
さて、その木原が属する総理側近チームである可能性が高い「複数の日本政府関係者が明らかにした」というかたちで、「岸田首相のウクライナ訪問とゼレンスキー大統領との首脳会談を行う方向で本格的な検討に入った」と抜いたのが読売新聞だ。
岸田首相がキーウ訪問検討、ゼレンスキー氏と会談へ…戦況見極め最終判断(読売)
岸田首相はウクライナの首都キーウを訪問し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と首脳会談を行う方向で本格的な検討に入った。2月中の訪問を目指しており、戦況を見極めた上で最終判断する。先進7か国(G7)議長国として、ウクライナの支援継続を主導していく意向を表明するとともに、ロシアによる侵略を非難する共同文書を発表したい考えだ。
複数の日本政府関係者が明らかにした。隣国ポーランドを経由する形で、陸路でウクライナに入る行程が有力となっている。キーウ訪問のほか、ロシアの攻撃を受けた他の地域を視察する案も浮上している。今月23日に通常国会が開会するため、審議への影響が出ないよう週末を活用する方向で日程を調整している。(以下略)
「政府関係者が明らかにした」というのだから、これは「漏れた」のではなく、政府側が「リークした」ということになる。だが、このリークは極めて素人的で、ナショナルセキュリティを全く理解していない悪手だと思われる。
キーウはもとより、ウクライナは戦場である。そこに首脳が出張っていくとなれば、安全確保のための準備は並大抵のことではない。電撃訪問とは、世の中を驚かせ、訪問のインパクトを最大化する手法だが、同時に訪問する側の安全確保のために「事前に情報を出さない」ことでもある。昨日の日曜報道 THE PRIMEに出演した木原は、「現段階で何も決まっていないが、しっかり検討はしていかなければならない」と述べると同時に、「紛争が起きている地域だから、安心・安全が最も重要だ」とも指摘したが、その安全・安心を著しく低下させるのがこのリークなのだ。
国際政治学者の篠田英明教授はTwitterで、「戦争はお天気ではない。多分、そのことがわかっていない人が、日本では権力機構にまでいるのが、我々の国の現実。」と書いた。まさに言いえて妙だ。
「戦場を訪問し、民主主義の連帯を示す」という政権浮揚策は浅知恵だった。「この内閣に危機管理を託すのは、かなり危なっかしい」。そんな印象を持つ事案である。
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