岸田政権で大きく後退する日本学術会議問題

菅義偉前総理に関して言えば、カーボンニュートラルの推進とか河野太郎の面倒見が良すぎるとか、すべての面で支持できるわけではないものの、菅氏が短期政権で多くの実績を残したのは、列記とした事実である。その功績の一つに数えられるべきものが、日本学術会議の組織改革について検討、および、新会員候補者のうち6名の任命見送りだ。左サイドの阿呆な連中は「憲法で示される学問の自由に反している」などと言っていたが、学術会議に参加しなければ学問ができないという式は成り立たず、この手の批判は八つ当たりに等しい。
私はこの任命見送りがいわゆる「見せしめ」であり、菅氏はあえて国民的議論が起こることを意図していたのではないかと思っている。その傍証として、イタい人間の炙り出しは面白いように促進された。多くの学会から抗議声明が発表されたのは予想通りで、「菅義偉という人物の教養のレベルが図らずも露見した」というヘイトスピーチまがいの批判をした川勝静岡県知事の素性も見事に炙り出した。問題提起としては大ヒットだったのだ。
日本学術会議は昨年末に、「内閣府「日本学術会議の在り方についての方針」(令和4年12月6日)について再考を求めます」という声明を出したが、内容は「我々の利権を奪うな」としか読めない。菅政権では「廃止・民営化」論が浮上していたが、この辺に関しても、岸田政権は日和っているようだ。“お得意”の第三者委員会を、なんと学術会議内に設置しようとしているという。
第三者委メンバーを会議が任命!?日本学術会議〝大甘〟改革案 岸田政権が提出検討 虫のいい話「お手盛り調査になるのは明白」島田洋一氏(夕刊フジ)
岸田文雄政権が、日本学術会議について〝大甘〟な改革案を検討している。通常国会で提出を目指す学術会議の関連法改革案では、会員選考過程を点検する第三者委員会の設置が盛り込まれているが、何と委員会は学術会議内に設置され、委員は学術会議の会長が任命するというのだ。これで第三者委員会と言えるのか。中立の立場でチェックできるのか。
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「会員以外の有識者からなる第三者委員会を学術会議に設置する」「第三者委員会の委員は一定の手続きを経て会長が任命するものと考えていて、会員などの候補者を最終的に決定するというのも学術会議であることを今検討している法案で想定している」
学術会議を担当する後藤茂之経済再生担当相は13日、閣議後の記者会見で、こう述べた。
学術会議に対しては、年間約10億円もの血税が投入されながら、特定の政治勢力の影響力が強く、日本の「軍事・防衛研究」に反対し、経済成長のマイナスになってきたと指摘されている。
菅義偉前政権では、会議の組織改革について検討を進め、「廃止・民営化」論も浮上していた。ところが、岸田政権は「国の特別の機関」という現在の形態は維持する方針に傾いている。(以下略)
なんと、学術会議の「在り方」を検討する第三者委員会を学術会議内に設置し、委員は学術会議の会長が任命するというのだ。お手盛り以外の何物でもない。首相就任以来、岸田氏から「改革」というフレーズは一向に聞かれないが、菅氏がとっかかりを作った学術会議の改革を「元に戻そう」とするなら、現状維持ではなく「後退」である。
日本学術会議に投入されているのは、我々の血税だ。いま現在もまつり状態になっているColabo他“赤い女性支援NPO”の問題でも、「困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針等に関する有識者会議」という有識者会議で、スキーム作りに仁藤夢乃の利害関係者の意見を反映させたことが問題として提起されている。そういう状況に在りながら、お手盛り会議を創設し、事を丸く収めようとする政府のセンスのなさは眩暈がするほど悪い。そして、結果的に事が学術会議の意向に沿った方向で進めば、菅氏の問題提起は台無しになる。
せっかく国民の認識が改まった日本学術会議の実態問題を、元の鞘に収めることがあってはならない。それこそ、政府が共産党に対する協力を表明しているようなものなのだ。増税だの核なき世界だの、岸田氏の迷走は続くが、この迷走も国民の声で止めなければならない。
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