評価できる「防衛費の対GDP比2%」と、評価できない「方法論」と「財源論」

ゼロコロナ政策が続く中共では、ストレスを溜めた人民によるデモが各地で起きているという。こういう映像が海外に流出していることなどから、中共当局によるガス抜きかと思っていたが、そういうわけでもないようだ。中共のデモといえば官製ものが多いというが、いま起きているものは性質が異なるという識者もいる。この手のデモが拡大し、取り返しがつかない状況になる可能性が生じれば、中共当局は手段を択ばぬ弾圧に出るだろう。今後の動向に注目だ。
さて、その中共が「核心的利益の核心」という台湾問題について、昨日の衆院予算委で立民党の末松義規が岸田首相に対し、「台湾独立を支持しないと言え」と迫ったそうだ。
【台湾独立、支持しないと言え】立憲民主党・末松義規「台湾有事の際、台湾独立の動きは封じていかなければならない。台湾独立を支持しないとハッキリと仰って頂きたい」
— Mi2 (@mi2_yes) November 29, 2022
岸田文雄総理大臣「外交上、どういった言葉遣いをするかが重要だ。わが国の対応は一貫している、変わっていない」 pic.twitter.com/ESGWvnHRLY
立民党は、国の外交を縛って何をしたいのか。日本の外交上の立場は「中共の立場は理解し、尊重する」が、「主張そのものを認めたものではない」というものだ。「日本は台湾独立を支持しない」と言い切ってしまうと、1972年の「日中共同声明」の精神そのものを否定することになる。それを政府に強いる末松のような議員は「中共の代弁者」と定義しても差し支えないだろう。
その中共を真っ先に念頭に置かなければいけないのが防衛予算であり、その防衛予算は岸田内閣の試金石である。岸田首相が防衛費を、令和9年度に対GDP比2%に増額するよう指示したという。
【速報】岸田総理「2027年度に防衛費をGDPの2%に」 財務・防衛大臣に指示 (ANN)
防衛力の抜本的な強化を巡り、岸田総理大臣は鈴木財務大臣と浜田防衛大臣を官邸に呼び、2027年度に安全保障関連費をGDP(国内総生産)比2%にするよう指示しました。
浜田防衛大臣:「令和9年度において、防衛費とそれを補完する取り組みを合わせ、現在のGDPの2%に達するよう予算措置を講じる」
また、岸田総理は「防衛力は将来にわたり維持強化する必要があり、安定的に支える財源措置は不可欠だ」と述べ、他の予算の歳出削減に加えて増税も念頭に財源の確保を図るよう指示しました。
防衛省は2023年度からの5年間で防衛費単体として48兆円の予算が必要だと見積もっていますが、財務省は35兆円程度に抑えるよう求めていて、折衝を続けています。
令和9年度まで有事が発生しない保証はなく、防衛相と財務省が駆け引きをしている間に台湾有事となれば目も当てられない。喫緊の課題という割には歩みが遅い防衛費増額だが、周辺国が日本の状況を勘案し、待ってくれるわけではない。逆に日本は自国の不利な状況を周辺国に晒しているようなものなのだ。
防衛費増額を支持した岸田氏には一定の評価が与えられるべきだが、問題はその方法論だ。「防衛費とそれを補完する取り組みを合わせ」というのは、他省庁の予算を組み入れた、いわゆる「水増し防衛費」と言われるもので、防衛費の純増ではないと言っているに等しい。2%議論が本格化して以来つきまとう財源論でも、「安定的に支える財源措置は不可欠」と言っており、「増税も念頭に財源の確保を図るよう指示」したのであれば、財務省と、財務省が仕込んだ有識者会議の受け売りとなる。防衛費増のバーターで増税を押し込もうと画策していた財務省は大喜びだろう。
この言質は、自民党内の増税論者、緊縮財政派には格好のネタとなる。ここは自民党の政調会にひと汗もふた汗もかいてもらいたい。萩生田政調会長は、有識者会議の「幅広い税目による国民負担」に名を借りた増税論を「あれは参考文書だ。最後は政治が責任を持って決断しなければいけない」と語っている。政調は保守派の防波堤と言ってもいい。大いに暴れまくって欲しい。
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