戦後体制の転換は今しかない ~ 中露北という“新”悪の枢軸に対峙せよ

日米豪印のクアッド首脳会合は、直前に起きた豪州での政権交代というハプニングはあったが、無事に共同声明を出すまでこぎつけ、閉会した。当初のメンバーであった4首脳のうち、まだ現役であるのはインドのモディ首相のみで、安倍元総理、トランプ前米国大統領、モリソン前豪首相は現場を去っている。特に親中度合いを危惧されている豪州首相を加えての共同宣言は、一定の意味を持つはずだ。
その証明は、中共外務省が早々に示している。中共外務省は24日、劉勁松アジア局長が日本大使館の志水史雄公使を呼びつけ、日米首脳会談やクアッド首脳会談を引き合いに、「強烈な不満と重大な懸念」の表明と「厳正な申し入れ」を行ったそうだ。日本政府が中共について「後ろ向きで誤った言動」を行ったためだという。クアッドとともに、米国が持ち込んだIPEF(インド太平洋経済枠組み)も効いているのだろう。ロクに同盟国を持たない中共にとって、こういった多国間の対中の枠組みは、重層化するほど効いてくる。TPP、QUAD、AUKUS、IPEFなどはすべて中共を排除している。
そういったクレームをつけてくる中、中共人民解放軍とロシア軍が共同で、東京でクアッドが開催中であるそのタイミングで、戦略爆撃機を日本列島周辺で編隊飛行させた。沖縄本島と宮古島の間を通過し、数百キロ太平洋側へ飛行したという。ロシア国防省は「合同の空中パトロールであり、特定の第三国に向けたものではない」と発表したというが、お笑い草だ。岸防衛相が「ウクライナの侵略国であるロシアと共闘するような形」と、ロシアを引き合いに中共に懸念を表明したのは効果的だ。ヒゲの隊長も「ならず者国家であることを示したようなもの」という強い口調で批判した。弾道ミサイルと思しきもの3発を発射した北朝鮮と合わせ、「“新版”悪の枢軸」が構成されつつあるが、その枢軸国がすべて隣国であることが、日本の安全保障に与える脅威は重大だ。
ロシアがいみじくもウクライナで証明して見せたように、中露のような専制国家は、多国間の安全保障の枠組みを嫌う。ロシアがウクライナに侵攻したのは、ウクライナがそういう枠組みに参加できていなかったからであるのは明白で、だからこそ、スウェーデンやフィンランドが永年維持してきた外交的中立という立ち位置を自ら捨て、NATO加盟に向けて一歩踏み出した。このことは、対中、対露、対北という三正面作戦を強いられる日本に対する示唆だ。
日本には憲法9条という軍事同盟を阻む足枷がある。世界有数の軍事力と自衛隊という精鋭部隊を持つ日本が、その潜在能力をフル活用した抑止力を、自ら封印しているのだ。憲法を改正し、国連憲章に則った集団的自衛権行使の範囲を広げ、確固たる軍事同盟を築き、新悪の枢軸に対峙する ―― 戦後体制を抜本的に転換するのは今しかない。
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