安保理常任理事国からのロシア解任と、国連改革への期待

リン・ホウセイ外相の不手際がまたひとつ露呈した。ロシアに侵略されることになるウクライナのコルンスキー駐日大使の面会要請を、一カ月もの間、放置していたという。リン外相は「私自身は大使からの面会要望は承知していなかった」と釈明したそうだが、「私自身は」というのは、一切の責任を官僚に被せるための表現だろう。ロシアのウクライナ侵攻は誰もが予想しなかった出来事ではない。危機はずいぶん前から指摘されていた。そういう事情を考えれば、面会要請が大臣の耳に入っていなかったわけがない。ロシアとは経済協力の会談はするが、ウクライナ大使の面会は聞いていないふりをする外相。国際社会では赤っ恥だ。
日本とロシアのあいだには、北方領土問題がある。特に北海道が地元を私にとっては、領土奪還は是非とも成し遂げてほしい外交イシューだ。だが、媚びへつらって、平身低頭、赤っ恥を晒してまで取り返してほしいとは思わない。国家には国家の矜持があり、それ相応の振る舞いというものがある。現外相がそういう期待に応えてくれないなら、今すぐ交代してもらいたいと願う。
国際社会では、ロシアの孤立化が急速に進行している。国連人権理事会の会合で、ロシアのラブロフ外相がビデオ演説した際、約40か国の外交官100人以上が一斉に退席し、ロシアに対して抗議の意を示したという。同じ委員会では、ブリンケン米国務長官もスピーチし、「他国を乗っ取ろうとする国が、恐ろしい人権侵害を行い大規模な人道的苦痛を与えながら、この理事会にとどまることが許されるのか」と述べ、ロシアは理事会に参加し続けるべきではないとの考えを示唆した。当然の主張だ。しかし、事は人権理事会にとどまらない可能性もある。
安保理常任理事国からのロシア解任、「選択肢」と英 (AFP)
【3月1日 AFP】英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相の報道官は1日、ロシアのウクライナ侵攻を受け、5か国で構成する国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国からロシアを解任する案を、英政府として議論する用意があると表明した。
報道官は記者団に対し、「首相はこれに関して立場を示していない」としながらも、「われわれはロシアが外交的に孤立することを望んでおり、それを達成するために全ての選択肢を検討するということは言える」と述べた。(c)AFP
安倍元総理が先週末のテレビで発言した通り、国連安保理の常任理事国が問題や紛争の当事者だった場合は、国連は機能不全に陥る。常任理事国が握る排他的特権、「拒否権」があるためだ。安保理が機能しない理由で、苦肉の策として開かれた緊急特別会合では、ロシア非難決議が採択される見通しだという。だが、それとて強制力を以て機能する見込みはない。
国連は第二次大戦の、いわゆる戦勝国が他国に優越する権限を持つ組織だ。中華民国の代表権を横取りした中共も含め、構成要素のいびつさは目に余る。拒否権を持つ常任理事国を解任できるルールがあるかどうか知らないが、少なくとも77年前の価値観をそのまま引きずっている組織は、今の国際社会の環境と合致するとは言えない。
常任理事国からロシアを解任できれば、少なくとも国際社会の空気は変わるだろう。米英仏などが主導し、この揺さぶりを継続して欲しい。「日本も常任理事国に」と、かなり前から期待をもって言われてきたが、そんなことを中共が受け入れるはずもない。ただ、日本は金を払い続けるだけでなく、常任理事国というポジションを求め、声を上げ続けるべきだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
当ブログはブログランキングに参加しています。ご面倒ですが、是非ともバナークリックをお願いいたします。
バナーが表示されない場合はこちらから。
人気ブログランキング | にほんブログ村 政治ブログ | FC2 ブログランキング