菅総理が根本的に見直すべき対中外交

2020年も残り3日となり、そろそろこの年を振り返るタイミングだが、国際政治・社会の舞台の主役級の立場を担ったのは間違いなく中共だろう。だが、主役と言っても「ヒーロー」でもなければ「正義の味方」でもない。「悪役」である。いや、「悪」そのものだ。
今年早々に、前年末に発生した武漢ウイルスが世界で報道され始め、後に中共がこのウイルスを隠蔽し、情報統制を敷いたことも明らかとなった。日本の厚労省にあたる「国家衛生健康委員会」が今年1月3日、武漢でのウイルス大流行を隠蔽するよう指示したとする文書を月刊「正論」が入手し、2月号にその内容を掲載している。その中共はWHOを懐柔し、中共発生源論を封印しようと画策したが、工作があまりににあからさま過ぎて、一介のブロガーでもWHOの臭い芝居を見破ったほどだ。
6月には香港における民主化運動弾圧のために用意した「国家安全維持法」を強引に施行させ、一国二制度という条約をなし崩しにし、わずかに残っていた民主主義を香港から取り上げた。中共は、武漢ウイルス拡散の責任を取るどころか、米国から持ち込まれた可能性などとプロパガンダを発し、客観的な調査を求めた豪州にもスラップ的な報復措置に出た。いま中共の大都市を含む各地で大停電が起きているようだが、喧嘩した豪州から石炭が入ってこないのが理由のひとつだというから、これこそ自業自得というものだろう。
中共の姿を国際社会に再認識させたのは、米国のトランプ大統領であり、その外交に大きく影響力を与えた日本の安倍前総理だが、安倍氏は既に退任し、トランプ大統領も恐らくその座をバイデンに譲ることになる。幸い、トランプ氏は次期政権をも縛る対中外交政策を矢継ぎ早に繰り出しているから、次期政権の対中政策がすぐにバイデン色に染まることにはならないが、日米両首脳の交代がキンペーにとって好都合であることは間違いない。
日米ともに、インド、豪州などと手を携え、欧州も巻き込みながら、対中包囲網を強化すべき時であるのに、日本政府の対中外交姿勢がいまひとつ定まらないことに、歯がゆさを感じている国民も多いだろう。「全世界を対象」などと謳いながら、実は中韓のために穴を開けているのが、今般の入国拒否政策だ。二階の影響だかなんだか知らないが、中共国内でも移動制限があるにもかかわらず、その中共からは人を受け入れるという矛盾には、不満を感じる。「切っても切り離せない隣国」という論をよく聞くが、日本人の自由、ひいては生命まで危うくするほど切れないなら、いっそ鎖国でもした方がマシだとさえ思える。
産経新聞のスクープに依れば、日本が大陸棚延長を申請している国内最南端の沖ノ鳥島周辺で、恐らく中共の指導のもと、複数の調査船が海洋調査を行っているという。大陸棚延長が認められると日本が海底資源開発の権利を持つため、中共政府は反論に向けた海底地形・地質データを収集しているとみられる。この日本の排他的経済水域(EEZ)内で無許可調査については、中共は日本政府の中止要求を無視しているという。彼らはそんな要求を呑むタマではない。9条信仰の話し合い至上主義者に、解決方法を聞いてみたいくらいだ。
中共に宥和的に接したところで、中共側も等しく宥和的になることはない。日中友好を謳うのは自由だが、彼らに友好的態度があったとしても、それは我が国の友好という価値観とは全く異質のものだ。ひと言でいえば、彼らの頭の中にあるのは自国の利益だけである。その芝居の裏にある顔に薄々気づいていながら、日中友好という信仰のもとで、様々な援助をしてきたのが我が国の戦後なのだ。
中共の正体が国際社会に晒されている今、日本が毅然とした外交姿勢を見せなければ、今後ずっと中共への偽善的友好を続けることになる。菅政権が発足時に「弱点」と指摘された外交で失点を重ねれば、自民党の党内政局が活発に動くことになる。菅総理には是非、就任以来続く中途半端な外交を根本から立て直してもらいたい。
月刊正論2021年2月号(スクープ:中国の「隠滅」指示全文)
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