自民党はキンペーの国賓来日中止を明確に発信せよ

私は自民党支持者であるとは自覚していないが、自民党の強みのひとつが「部会」だと思っている。外交、防衛から文科、水産など、14ほどの専門部会があり、ベテランから新人まで、それぞれの部会で交わす議論が積み上げられ、政策となる。
一方、野党にはこの「積み上げ」がない。彼らも「なんとかチーム」などを作ってやっているように見えるが、力点を置かれるのは「なんとか調査チーム」「なんとか追及チーム」という、週刊誌ネタの延長を議論する場であり、官僚を呼びつけて恫喝するわ、シュレッダーの社会科見学に出かけるわで、政策よりも政局重視の編成だ。自民党と特定野党の差となっているのは、こういう地道な活動だろう。
昨日6日、自民党で注目の外交部会と外交調査会が開かれた。注目の議題は、外交部会と外交調査会の役員会で決定された「香港国家安全維持法の制定及び施行に対する非難決議案」の可否だ。
習主席国賓訪日で自民部会紛糾 「中止要請」決議案の表現巡り (毎日)
自民党外交部会と外交調査会は6日、中国による「香港国家安全維持法」制定を受けて中国の習近平国家主席の国賓来日中止を求める決議案を巡り、党所属の全国会議員が出席可能な合同会議で協議した。原案にあった「国賓訪日について中止を要請する」との文言に、中国との太いパイプを持つ二階俊博幹事長サイドが反発し、議論は2時間続いた。最終的に中山泰秀部会長に対応を一任し、「中止」の文言を残したうえで表現を微修正することとなった。
出席者によると、二階派議員を中心に「これまで安倍晋三首相や二階氏が築いた日中のチャンネルを閉じるべきではない」などと反対論が出た。「中止」の文言を削除すべきだとの意見もあった。
ただし、発言者27人のうち決議案に反対・慎重は5人だった。これに対し、賛成意見は22人にのぼり、保守系議員は「国家安全法は香港だけでなく、日本にとっても懸念がある。そういう状況で国賓来日はおかしい」と主張した。衛藤征士郎調査会長が「我々が習氏を国賓と認めると、(中国公船が侵入を続ける)尖閣諸島が中国のものと認めることになる」と訴えると、「そうだ」と賛同する声が続出した。【遠藤修平、野間口陽】
産経の報道によれば、二階派の河村建夫が記者団に対し、「文書は修正すべきだ」と発言したことを明かしたという。他の二階氏周辺議員は、河村が「日中関係を築いてきた先人の努力を水泡に帰すつもりか」と不快感を示したと漏らしている。毎日新聞の「日中のチャンネルを閉じるべきではない」というのはこの部分のことだろう。
しかし、キンペーの国賓来日反対が、これまで安倍総理や二階が築いた日中のチャンネルを閉じることを意味するものと解釈するのは、あまりに飛躍的ではないか。決議案の文面の詳細は定かではないが、キンペーの国賓来日中止自体は、一つの外交イベントの中止であり、外交を閉ざすということではない。逆に、この来日をこのまま進行させたとしよう。中共との関係改善の代償が、米国との外交摩擦を引き起こせば、それこそ国益が棄損される。
自民党の小野田紀美議員が解説しているが、この会の出席者が約50人で、発言者27人中、賛成意見は22名、反対意見は5名で、「原文に異論がなく発言しなかった人も考えると殆どが賛成」だったようだ。紛糾という表現は、二階派サイドの受け売りだろうが、議論は健全な方向に進行している。
決議案の全文を知らない段階であえて述べれば、この決議案のキモは、キンペーの来日が「延期」ではなく「中止」という部分だろう。中止が決定されてはじめて、日本は天安門直後の外交失策を挽回できる。キンペーの来日阻止は、武漢ウイルスの隠蔽や尖閣への露骨な野心への対抗はもちろん、友人である台湾を守ることにも繋がる。中共に対して堂々ともの申すことは、日本外交ではなかなかできなかったことだ。政調会長の岸田が決断できるか、日和って玉虫色の裁定になるか、注目だ。
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