fc2ブログ

    終わりゆく平成と、令和に引き継がれる皇位継承の危機と緊張

    ← 応援クリック、ありがとうございます。

     以前も書いたかもしれませんが、本日4月30日は私の誕生日です。もう年齢も年齢なので、誕生日は決して目出度いものではありえないのですが、平成の時代が自分の誕生日とともに終わるというのは、なんとも複雑な感じがします。きっと、5月1日生まれの方々は、複雑というより、「令和」のはじまりと相まって、希望に満ちた誕生日をお迎えになるのでしょう。

    天皇陛下


     悠仁親王殿下の机の上に刃物を置いた不敬者が逮捕されたようです。このエントリーを書いている時点で、動機などはまだ報道されていませんが、悠仁親王殿下は皇位継承順位が皇太子殿下、秋篠宮殿下に次ぐ3位で、第4位がご高齢の常陸宮殿下であることを考えると、現在の法制化では皇統を継承する最後の皇族です。皇統を廃絶しようとする勢力にとってターゲットとなるお人であり、くだんの不届き者の行為は、直接的な暴力行為等でなくても許されざること。当局にはしっかりと仕事をしてもらいたいものです。

     そもそも、皇統の維持というものは、戦争に負け、GHQが旧宮家の皇室離脱を含む占領政策を実行した時点から、非常に危ういものであり続けています。現行憲法の第1条は象徴天皇を規定したものですが、その存在は「主権の存する国民の総意に基く」となっています。江藤淳は、この条項を「一見、共和政体の上に乗っている飾り物のように解釈されかねない」と指摘しています。ところが憲法第2条では、「皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」となっています。つまり、国民投票による信任を必要とするものではなく、これは共和政体には馴染まず、明らかに立憲君主制に相応しい条項です。

     つまり、皇統というものが、憲法第1条と第2条の相互矛盾のような、極めて不安定な構造の上に立脚するものであるということを、忘れてはならないと思うのです。今上陛下が譲位され、明日、新たな帝を迎える我が国は、刃物男のようなごくごく一部を除き、寿ぎのムードにあふれています。昭和天皇の崩御とともにスタートした平成という時代が、国全体が喪に服し、自粛ムード溢れるなかではじまったことを思い起こせば、これも一つの形なのかもしれない。

     ただ、現政権を含め、この祝賀ムードが皇室にまつわる様々な将来的困難の目くらましになってはならない。現行憲法に内包される不安定な構造もまた、そのまま令和の時代に継承されるのです。

     いわゆる「象徴天皇制」とは、決して安定した“平静”な構造を有するものではない。それはつねにそのなかに危機と緊張を孕むものであり、分解と解体の可能性を潜在させているものなのである。

    産経新聞「正論」 「皇統維持に献身された先帝: 江藤淳」
    (平成元年1月13日掲載)


     皇統は、日本が守り通さなければならない国体の心柱のようなものです。それがなくなれば、日本は日本という国でなくなり、単なる物質的な場所に変質するだけです。暫くは、今上陛下への感謝と、令和への寿ぎを、国全体として表現すればよい。ただし、皇位継承という差し迫った問題を議論する時期は、近い将来、必ず来ます。そのための準備は、政治はもとより、国民ひとりひとりの義務であると、心から思います。


    最後までお読みいただき、ありがとうございます。
    当ブログはブログランキングに参加しています。ご面倒ですが、是非ともバナークリックをお願いいたします。
    にほんブログ村 政治ブログへ
    バナーが表示されない場合はこちらから。
    人気ブログランキング | にほんブログ村 政治ブログ | FC2 ブログランキング

    6 Comments

    Alinamin2011

    先日のトランプ大統領のスーパーボールと即位の礼を比較した件は、アメリカ国民向けのパフォーマンスであることは明らかだが、君主に対する国民の思いが、共和制の国の人々にはにわかには度し難いことがよくわかった。

    天皇陛下の名の下に、心を一つにできる国

    こんな日本に生まれて本当に良かったと思います。


    PS
    ブログ主様 誕生日おめでとうございます

    HAKASE(jnkt32)

    江藤 淳さんの大いなる遺言

    平成期も 誠にお世話様でした。これは、退かれる今上陛下に
    向けても申し上げるべきと心得ます。

    前世紀末 亡くなられた江藤 淳さんの大いなるご遺言ですね。
    象徴天皇制の光と影を一言で言い当てられたご見識には、今も
    深い敬意を覚えます。

    続く令和期にも、同氏のお言葉は 時代を越えて受け継がれる
    べき事と、拙方も強く思います。末筆ながら、貴誕生日奉祝です。
    次代もどうか宜しくお願い致しまする恐れながら拙誕生日は、
    貴方と一日違いの 4/29でありまして。

    • 2019/04/30 (Tue) 09:58
    • REPLY

    ST

    管理人様、お誕生日おめでとうございます。 毎日の更新は大変でしょうが、これからも鋭い切り口のブログ、お願いいたします。

    譲位される陛下には、長い間ありがとうございましたと申し上げたいです。
    世が世ならこんな言い方も失礼に当たるのかもしれませんが、陛下は一点の曇りもない人格者であらせられたと思います。
    東日本大震災の折、避難所を訪問され、膝をついて被災者に話しかけられる様には、なんとも心打たれました。
    その映像が使われているyoutubeで、どこの国か忘れましたが、外国の方が「この方はエンペラーなんだぞ、その方がこんな風に国民と向き合われるとは、日本はなんて国なんだ」とコメントされてましたが、正にその通りだと思います、また、沖縄やサイパンといった大東亜戦争の激戦地を訪問されるお姿も感慨深いものがありました、不幸な歴史でさえイデオロギーのために利用するサヨクとは正反対、平和の祈りと言うのはこういうものなのだと思わされました。
    『象徴としての天皇の勤め』を正面から真摯に模索された陛下の御足跡は、これからの皇族の在り方として受け継がれていくことを望まずにいられません。
    また、陛下を長年にわたって支えられた皇后陛下もまた、一点の曇りもない人格者であらせられました、長い間ありがとうございましたと申し上げたいです。

    なつこ

    まさしく危機と緊張の国体護持

    管理人様 お誕生日おめでとうございます。
    毎日の卓抜な記事の更新、ありがとうございます。
    御譲位の日のお誕生日は長く記憶に残ることでしょうね。

    天皇皇后両陛下には、平成の長きに渡り、
    果たされて来られたご公務などの数々には、感謝の言葉しかありません。

    今後のご皇室に関しては、気懸りなことがあり、
    思うことの多くを書くには、憚られることですから控えますが、
    皇室毀損の度が過ぎる週刊新潮、週刊文春の
    秋篠宮家の宮様方へのバッシングは、我慢なりません。

    将来の天皇陛下となられるお方を擁する
    秋篠宮家の大事を思えば、書けるものではないものを。
    むしろ背後の謀略組織の意を体した
    デマ記事の乱発としか思えない悪辣さです。

    今回の悠仁親王殿下を狙った、
    お茶の水女子大付属中学の事件は、
    これらの週刊誌が誘発したようなものです。
    御譲位の前に犯人逮捕となり、一先ず、安心いたしました。

    令和の時代は、厳しい世界情勢のなか、日本人の真価が
    問われる御代となることと思われます。
    明日の新天皇のご即位、晴れやかなものとなりますように。
    そして何卒、秋篠宮家の宮様方をお守りくださいと願うばかりです。

    • 2019/04/30 (Tue) 20:25
    • REPLY

    ああ鬱陶しい

    日本人にとって天皇陛下とは,空気のような存在でいいのではないかと思う。なくてはならない存在だけど,普段は殊更に意識する存在でもない。
    天皇の権威を利用して,自分たちの思うように日本社会を操る事を企図した明治政府は,本当に天皇を敬愛していたのだろうか,と思う。
    現在の政権も本心では,天皇に対してどんな思いを抱いているのだろうね。

    (名前空欄)

    >天皇の権威を利用して,自分たちの思うように日本社会を操る事を企図した明治政府は,本当に天皇を敬愛していたのだろうか,と思う。

    立憲君主制を勉強したら?www

    >現在の政権も本心では,天皇に対してどんな思いを抱いているのだろうね。

    ぱよちんにはきっと理解できんよwwwww

    • 2019/05/07 (Tue) 09:59
    • REPLY

    ※ 記事の内容に直接関係ないコメント、トラックバックはご遠慮させていただきます。
    ※ 管理人及びコメント投稿者への誹謗中傷、嫌がらせ等と判断した場合は、管理人の判断により、コメントを削除致します。