保護主義は絶対悪ではない ~ むしろグローバリズムに毒がある

ドナルド・トランプが米国次期大統領選に勝利して以来、日本の新聞各紙も彼の政策を一斉に批判している。その批判の矛先のひとつが、トランプの保護主義に対するものだ。朝日新聞が11日の社説で「「トランプ大統領」の衝撃 保護主義に利はない」、読売が同日に「トランプ経済策 保護主義は全世界の不利益だ」と、12日には毎日が「激震トランプ 保護主義へ傾斜 世界経済の足元揺らぐ」とそれぞれ説いた。象徴的なのが、朝日の社説の最後の文章だ。
自由化で成長を促し、経済の規模を大きくする。同時にその果実の公平な分配を強める。トランプ氏を含む各国の指導者はその基本に立ち返るべきだ。
自由化というものが国の成長を促し、国民生活を豊かにするなら、主張には異存はない。しかし、自由化こそが成長を促すという前提は絶対ではない。まして、保護主義を悪だと決めつけること自体が間違いであるように思う。
そもそも、国内の産業に対する育成、保護を目的とした政策に「保護主義」というレッテルを張ること自体が、国民の目を惑わせる。国民の生活を守り、雇用を守り、最低水準の生活を保障するのは国家の重要な役割だ。その役割が他国からの移民や過度な自由化によって脅かされるなら、それを抑制するのは当然のことではないか。その危機意識が覚醒して起きたのがブレぐジットであり、トランプ選出だろう。それらの選択が絶対に正しいとは言わないが、グローバリズムへの危機意識がそれらの結果をもたらしたのは事実なのだ。
我が国の場合は、デフレ脱却が経済政策の大テーマである。一方ではデフレを脱却せよ、そして一方では低賃金で働く外国人労働者を入れろというのは、なんでもかんでも自由化しろと叫ぶのは、明らかに相互に矛盾した主張ではないのか。朝日は、経済を成長させ、経済規模を大きくするために自由化をと叫ぶが、その自由化が外国への生産拠点の移転を促し、日本人自身の雇用を奪っているのであれば、成長など絵に描いた餅である。自由化とは富が国境を越えて流出することも意味し、その煽りを食うのは日本国民である。
「国内から雇用を取り上げるな!」「我々の富は我々が享受するもので、外国人のためのものではない」というのが、トランプを勝たせた要因であることは、既に語られている通りだろう。私は、トランプの主張がすべて正しいとは思わないし、どちらかといえば反対する部分の方が多い。だが、生活苦や将来への不安がトランプ大統領を生んだことは、明日の日本への示唆でもあるだろう。
トランプ大統領の出現が、グローバリズムの敗北であることは間違いない。
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